三十四

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三十四

 グレとチタ。二人に"チュチュ"と茶化されて、エルモは顔を真っ赤にして「ここではしない!」って、楽しげ逃げる二人を追い回した。 「ウワァ、チタ! エルモちゃんが追ってくるぞ!」 「ほんとうだぁ、キャー、キャー!」 「逃げるなぁ! グレちゃん、チタちゃん!」  ふと、逃げるふたりを見ていて、子供の頃に遊んだ鬼ごっこみたいだと思い。  近くでみんなを見て楽しむグルの手を掴んだ。 「フフッ、グルさん、つかまえーたぁ! 次はグルさんが鬼ね。グレちゃん、チタちゃん逃げるぞ!」 「「鬼?」」  みんなは鬼ごっこを知らず不思議な顔をした、そこで、口早に説明をする。 「鬼に捕まらなく逃げるの! 鬼に捕まった人が次の鬼なるの。最後まで鬼だった人が負けね! 時間はいまから三十分!」  みんなはいまの説明でわかったのか、エルモの掛け声にグルから逃げていく。  グルはまずグレを追っかけるが小さく、素早っこくて捕まらない。チタも逃げ足が早く捕まらず。グレはエルモを追っかけた。 「エルモ、まて!」 「グルさんには捕まらないわぁ!」  逃げ回って、チェリチタの木の下で捕まった。というより、手を引かれたはずみでグルを押し倒した。  そして、お決まりのハプニングキス。  チェリチタの木に"ポポン"と花を咲かせた。 (あれ程、人前でキスをするのは恥ずかしい! って言っておきながら……な、なんて、ベタベタな展開でキスしちゃうの!) 「ごめんなさい。グルさん、大丈夫?」 「大丈夫だ。俺こそ、ごめん。怪我していないか?」 「うん、大丈夫……」  エルモはグルに起こしてもらった。  それを一部始終みていたグレとチタ、二人はニンマリ。 「「ウハッ、ベタベタな展開で花が咲いたぁ!」」    と、お腹を抱えて笑った。  鬼ごっこで走り回って、お腹すいたとみんながいう。  持ってきた材料をグルに出してもらい。  簡易テーブルと魔法のコンロ、フライパンに油を少し引き、下準備しておいた唐揚げとカツに衣をつけて揚げる。  ジュージューといい音をだして、カツと唐揚げがキツネ色にあがってくると。揚げ物の匂いにつれられてみんながコンロのまわりに集まる。 「エルモ、いい匂いだな」 「ほんと、腹減った」 「お腹すいたね」 「すぐに、できるから待っていてね」   「「うん!!」」    作っておいたスープ鍋を取り出して、野菜とソーセージとくわえてさらに煮込み。揚がったカツと唐揚げをキャベツとともにパンにはさむ。レタスときゅうりでサラダを作った。  たまごはスクランブルエッグにして、パンに乗せてケチャップをかけてできあがり。 「できたよ。さあ、食べましょう」 「「食べよう!」」  みんなでご飯が始まった。
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