大精霊シルワ

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大精霊シルワ

 ワタシは大精霊シルワだ。白、黒は五歳の時に両親をなくして、ワタシのケンゾクにした。二人の魔力、能力は高く、守らないと悪い人間に捕まる。  ――それから程なくして。  ケガをした白を助けてくれた、あの子にお礼で加護を与えたが――その能力を過信し始め、己の欲のため使うようになった。白の真剣な告白を台無しにしてバカにしたから、与えた加護は返してもらったよ。  まずい。  村の位置が人にバレてしまった。もし人間が襲いにきたらと考えた私は姿を隠し、村の者たち、白と黒を守るため、罰という形でしばらく、人の里での暮らしをさせている。  それなのに、みんなは白と黒に文句を言わず、感謝している。  白、森に現れはじめた魔物を退治してくれてありがとう。黒、村の見回りたすかる。村の者たちは誰一人かけず、文句よ言わず、満月の夜に酒を交わす姿に涙した。  いま。黒にいい人が現れたと火の精霊たちに聞き、確かめにきている。エルモという女性はほんとうに黒を愛しているのだろうか? チェリチタの木に花を満開にさせたが――また、白のように悲しい思いをさせないか心配だ。と、彼女のパン屋にかよう内にメロンパンという美味しい食べ物にハマった。    他のパンも食べたが、メロンパンを食べた日に衝撃がはしった。 「う、うまい! 美味しい。他のパンもおいしいがこれは格別だ!」  外はサクサク、中はフワフワ。美味しいものは皆でたべたいが。私が店のメロンパンをぜんぶ買うと、待っている人に悪い。十個だけ買い三つは白と黒、彼女の分とした。  みんなには、こんどの満月に酒を盛大に振舞おう。  彼女ははじめは驚いていたが「ありがとうございます」「あの、今回は私がだします」「半分受け取ってください!」と言ってくれる。仕事終わり。黒が迎えにきて手をつなぎ、楽しげに帰っていく姿はなんとほのぼのする。  ――よい、よい。  それと。彼女につきまとう変な男は近くの森に弱い魔物を呼んで、しばらく来させないようにしてやった。
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