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春
彼と出会ったの暖かな日差しが降り注ぐ静かで寂れた図書室だった。
◇◇◇
私は中高一貫校である六花高校に入学した。ただ自分の学力で一番高い所を受けたら受かったという程度の話だ。内部進学が8割を占めるので既にグループが作られており積極的に中へ入っていくのは億劫だったので、適当にやろうと決意した。
(なんとかなるでしょ…)
とHRで窓の外を見ていい天気だなとぼーっとしてたら、黒板に自分の名前が書かれていた。
『図書委員 千木良沙智』
いつの間に私は図書委員になっている。
なぜ。
「なぜって……沙智が寝てたからでしょう」
「寝てない。ただぼーっとしてただけ」
「いえ、変わらないわ」
「むー」
「そんな顔しても駄目よ。頑張っていってらっしゃい」
この慰めているのかわからない態度である友人の二十月栞は、入学式で隣だった縁で仲良くなった……はず。入学式前日の夜は、夜ふかししてよく寝ぼけ眼で入学式に参加したので覚えてない。
ふわふわの髪の毛でオッドアイの美人で、小柄なのにけしからん! って体型をしている。うらやましい。しかも許嫁がいるとか。凄すぎでしょ。
私は少し色素の薄いもっさりとした髪を適当に2つに結ってるだけだ。邪魔でなければいいでしょう。それと、うちは立派な中流家庭だ。慎ましく家族3人で3LDKに住んでる。
図書委員の会議があるということで参加し、速攻で第二図書館へ案内された。いつの間にか、第2図書当番に決定もしていた。
『また、寝てたでしょう?気をつけなさい!』
脳内で栞に怒られる。
解せぬ。
校舎の隅っこにあるため人が殆どと言うか、人っ子一人いない。なぜここに図書室を作ったのか不思議だ。まぁ、いい。
「はぁ…面倒」と思ってたけどもう一人の当番はサボりだし、人来ないし、一人だし、日当たりいいし最高じゃない?
カウンターは日当たり良好。これは寝るしかない。
おやすみなさい。
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