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ネズミの話
木造住宅の寿命は普通30年ということになっている。
屋根を拭き替えたり土壁を塗り直したりすればもっともっと使える技術があったはずなのだが、そういうものを日本人は捨ててしまった。
家屋を解体するときはまず天井を抜く。
バールなどで下からつついて破り、引きはがすのだ。
これをやると、ネズミのフンがざーっと音を立てて降ってくる。
一部屋で数キログラムほどの分量になるのではないだろうか。
不思議なことに、フン以外のものは何も含まれていない。
虫の卵も死骸も、ネズミの死骸も全くない。もちろん埃は混じっているが、それ以外は完全にネズミのフンばかりである。
ネズミは廃屋で死なないし、死ぬ前に処分可能なものを残していくこともしないのだろう。
ネズミが環境保全など考えていないことは自信をもって言えるが(学生時代ネズミを扱っていた)、野生動物のやることはかくも無駄がない。
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