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KMNZの話
女性二人のヒップホップユニット。Vシンガーという分類になるそうだ。
リリックとミックスをやっていたLIZが昨年病気で脱退。今年7月だったか、残ったLITAと新規加入二人、三人態勢で再始動。精力的に活動中、なのだが。
日本語ヒップホップは嫌でもリリックが耳に入る。ロックならば歌詞なんて聞いてない、という態度もとれるが、少なくともKMNZの曲でそれは無理だ。
どうしたってリリックが聞こえてしまう。
LIZには作家性があった。きわめて個人的な、創作や生活に関することや、相棒のLITAへの思いを平易な言葉で綴って、それが立派に作品になっていた。
歌以外の活動はあまりしなかったが、LIZがどういう人か、どういうアティチュードを持って生きているか、曲を聴いていてわかるような感触があった。
しかし、今のKMNZのリリックは平均的なJpop以上でも以下でもない。
他のどんなロック風バンドでもアイドルでとでも交換可能な、よくできた工業製品のようなリリック。
たぶん、現状のほうが数字は取れるのだろう。だが、熱心なファンは離れる。少なくとも私は離れた。
創作物には二種類あるという話だ。
工業製品のように標準化された、多くの状況にフィットする、便利で交換可能な量産品と。
聞く者の人生の欠けたピースを埋めるような、聞く者とともに生涯ありつづけるような、手仕事の深みを持った工芸品と。
LIZは後者の創り手だった。だから好きになった。
私も後者のようでありたいと思う。
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