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薄桃色の花々は仄かに甘い吐息を吹いて。
風にさらされながら、一瞬の刹那を散っていく。
空は至って青く、白い靄がいくつかあるだけ。
空気は少し、厚かった。
肺一杯に空気を詰め込めば、なんとなく漂う淡い香り。
夜になれば、街灯が薄桃の花を照らすだろう。
燈明の如くなりと、誰かがきっと言うのだろう。
湧き出でる再生の季節。
ひらりと空を花粉雪が散っていく。
香りもやがて、消えていく。
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