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「柚希が手伝ってくれることには凄く感謝している。頼れる妹がいてくれてほんとうに良かったと、里帰り産休が始まってからつくづく思えて嬉しかった。お母さんがいなくても柚希がいてくれて良かったよ。その妹が結婚をして、一緒に暮らすようになった婚家にいるお姑さんがまた家のことができるお母さんで、私も心強かった。サポートしてくれることは感謝しているし、これからも頼りたいと思っているよ」
やっと。柚希がよく知っている『かっこいいモモ姉』の微笑みを見せてくれた。柚希もホッとして顔がほころぶ。なのに。またすぐに姉の表情が曇った。
「でもさ……。そのサポートが外れたら、どうしたらいいの? 出産が終わって、育児が始まって、一路はもう離乳食まで食べられるようになった。あと数ヶ月、あっという間に過ぎて、私は部隊に復帰する。しばらくはここ札幌にいられると思う。でも……。その後は? どうなるの?」
また姉の表情が切羽詰まったものへと変化していく。厳しいものではなく、苦しそうなもの。そんな姉の顔は見たことがなかったので、柚希は言葉を失う。
そこで心路義兄も割って入ってきた。
「モモさんの不安はわかるよ。俺とモモさんはともに自衛官だから、職務が家族より優先することはある。それでも、二人で子供を望んだ以上、産まれた以上、ユズちゃんと小柳のご家族と、神楽のお義父さんの助けがなくなっても、ふたりで育てていかなくてはならないんだ。だからこそ、俺にも頼ってほしいんだよ。どうしてだよ。俺だって、子育て手伝っているだろう。もっともっとやらせてほしいよ。そこに届けてくれた『芹菜さんの洗濯』だって、助かってるよ。でも帰宅した俺も、いまからできるよ。できることは二人でやろうって決めていただろう」
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