⑯神様、激怒😡

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⑯神様、激怒😡

 フラッシュバックで朋重が怯んだその瞬間を、伯母の紹子は見逃さなかった。  リビングのテーブルの上には、荻野製菓ギフトボックスに、千歳は欠かさず自社製品を入れて置いていた。  そのテーブルに足をのっけた伯母が、憎々しげに菓子折の箱を蹴っ飛ばした。散らばった菓子が隣に座る娘メリィの足下に落ちていく。 「うわ、ママ。もったいない~」  そういいながら、メリィが袋に入ったままの個装入り菓子を踏んづける。  伯母は散らばった菓子のひとつを手に取って、蹴っ飛ばしたくせに勝手に開けてがぶっと頬張った。 「ここの菓子、大好きなのにね。残念だなあ。虫とか入っているかもしれないから、今度お店で調べてみようかなあ。昔さあ。朋重の会社でも、虫入り騒ぎあったじゃない~。おまえの母さん、あちこちに頭下げて大変だったんだよー」  また朋重が驚愕の表情を浮かべた。 「まさか。あれも……? あれも俺が子供の時、あったって……。まさかそれを荻野にやろうと」 「だからあ、婿入りするあんたか、奥さん次第ってことよ。あんたの奥さんの身の回りも気をつけたほうがいいよー。ある日突然。ママみたいに長期入院とかなったら困るでしょ。こっちは跡取り娘で、経営に影響でちゃうかなあ」 「いえ。まったく問題ありませんので。お好きにしてください」  間髪いれず対抗した千歳に、伯母もメリィも、意外だったのか目を丸くしていた。 「荻野が守ってきたものを足蹴にしましたね。食の安全を守らねばならぬ事業をしている経営者の親族であるにもかかわらず、顧客の食の安全を脅かすことを平気で選ぶのですね。よくわかりました。お好きにしてください」 「はあ? この小娘。本気にするぞ」
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