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「あれね、どちらもお祖母様からもらった贈り物なのよ。あっという間に帰ってくるから。あとね。食べ物を粗末にした罰もあたるから絶対に」
「いや、だから……」
これからどんな嫌がらせをされることかと動転している朋重に、千歳は満足げに彼の腰に抱きついた。
「私を守ってくれて、ありがとう。すっごく嬉しかった。シャツ、汚れちゃったね。洗ってあげるからね」
「いや。役に立った気がしなくて……」
「お腹すいた。ワインが少し冷えたら、お刺身一緒に食べよう」
「え、うん。そうだね……」
徐々に彼も落ち着いてきたのか、ほっとしたのか千歳の黒髪にキスをしてくれる。
優しく抱きしめて『絶対に伯母から守るから』とも言ってくれる。
跡取り娘だから気が強くなるけれど、そのあとこうして甘やかしてくれるだけで充分なご褒美なのだ。
その後すこししてから、浦和の父と兄が一緒に、千歳マンションに到着した。
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