⑰荻野リーサルウェポン

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「気をつけること? いい縁を選んで結べるし、悪い縁は絶ちきるだけではないと?」  義父の問いに、千歳は頷く。 「聞いたことがありませんか。強力な縁切りの神様にお願いをすると、必ず叶えてくれるけれど、良い縁ごとごっそり切ってしまうというお話。祖母についている神様はまさにそれで、『強力縁切りモード』にシフトがはいると、爆撃範囲が広すぎて、切りたい縁の周囲ごと無差別に縁がなくなってしまうことがあるんですよ。ですから最終兵器と弟が呼んでいます」  また浦和の栗毛父子が『いい縁までごっそり!?』と揃って絶句している。 「まって、千歳。だとしたら、伯母と縁を切ることでお祖母様の力を借りたら、俺との縁も切れる可能性があるってこと!?」 「それは駄目だ! 私は朋重と千歳さんとは是非是非結婚をしてほしいし、当家と末永くご縁があるお付き合いをしていきたいと思っているのですよ」 「父さん、落ち着いて。まだお祖母様はこの件については接触されていないだろ。そうですよね。千歳さん」  慌てる浦和親子たちに、千歳は苦笑いをこぼしつつも、安心させようと告げる。 「お義兄様のおっしゃるとおりです。祖母が出てしまうと、今回の縁談もなくなってしまう可能性があるので、いざというときまで控えていると決めています。だから、千歳がきちんと頑張りなさいと言われていますから」  何故かホッとする父子たち。安心した朋重が、また先に気がついた。 「あ、だから。お祖母様の贈り物、間接的にお祖母様の思いがこもったものを持たせたわけ?」
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