⑰荻野リーサルウェポン

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「そうだったんだ。跡取り娘のちーちゃんには神様がついていたのか。それで、その神様に、俺は『千歳のそばにいていいよ。この家に住んでいいよ。荻野においで』と認めてもらったということで、いいんだよな」  いつかのように。夜の植物園のむこうに見えるビルの灯りを楽しむように、窓辺のダイニングテーブルへ。千歳もワイングラスを片手に彼の隣に座る。 「そうよ。だから、言ったでしょう。ご加護さんが認めてくるかどうか試しましょうって」  隣に座った千歳の肩を抱き寄せて、また彼がこめかみにキスをしてくれる。 「そうか。俺、福神様に気に入られていたんだ。なんだ。もう安心じゃないか。あ、お祖母様が力を使わなければ?」 「ふふ。食いしん坊の福神様も怒らせていたからね。大変な目に遭うと思うわよ~」 「敵に回すと怖いな~」 「敵に回すような喧嘩をふっかけてきたの、あちらだもの。うちの菓子を粗末にしたこと許さないから」  そんな強い千歳も好きだよ――。  そう言ってくれる婿様で良かったと、千歳もキスを返す。  真珠を意気揚々と持ち帰った彼女たち。  その効果は二ヶ月後、雪が降り始めたころに、千歳は知ることになる。  紹子伯母は入院をしてなかなか退院ができず、食べるものにも困っているという芽梨衣が訪ねてくる。  千歳に『助けて欲しい』と真珠を持って懇願しに来たのだ。 ※毎日、ありがとうございます💕 神様のお仕事(お仕置き)明日詳しく!(市來)
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