5114人が本棚に入れています
本棚に追加
思わず。欲望が既に抑えられない伊万里のようにはなるまいと思っていた姉だが、千歳もにんまりしてしまった。
「どこがベストポジションか」
「調理カウンターに近い端の席でしょ。そこで私と伊万里が並ぶの。次々とやってくるのよ。邪魔にならないようにしなくちゃ」
「だったら。あそこだな~。俺、マジの角の端っこ」
「じゃあ、伊万里の隣が私で、その隣が朋君」
姉弟でキャッキャとはしゃいで、長テーブルの端っこを陣取った。
朋重も、ベストポジションだねと笑ってくれている。
一番乗りで席を取ってしまったが、そのうちに、荻野の祖母と父と母が到着し、そのあとすぐに、浦和の義両親と、義兄夫妻が到着した。
すでにベストポジションの席を陣取っているのを見た祖母が『あら、あんたたちにぴったりの位置じゃない』と笑い、父と母も『ほどほどにしなさいよ』と、ちょっとハラハラしているようだった。
朋重が『ちゃんと見積もっているので大丈夫ですよ』と両親をなだめてくれたり。なんだか今日の千歳と伊万里はまるで子供のように扱われていた。
それだけ荻野大食い姉弟が目を星形にしてわくわく待ち構えているのだから、かえって、集まってきた他の家族が『微笑ましい』とばかりに和気藹々と談話している。
副社長の朋重がキビキビとスタッフを動かしてくれ、義兄の秀重と兄嫁の『桜子さん』が千歳と伊万里の向かいに座って話し相手になってくれる。
祖母の千草と、父・遥万、夢に出た聖女そっくりと言われている美魔女な母『凛香』と、浦和の義父・正貴と、朋重の母、千歳の義母となる『菜々子』が向き合って、年配者の話題で盛り上がっていた。
最初のコメントを投稿しよう!