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朋重や、社長の秀重に会長の義父から、きちんと説明を受けて特別指名でそこに呼ばれているだろうに『あの荻野製菓のご姉弟が本当に大食いモード』になった姿を目の当たりにして、困惑しているのが伝わってくる。
それでも姉弟の前にどんどんと丼が並び始める。
「うおーー! いっただきまっす」
「きゃー。おいしそう。いただきます!!!」
二人がさささと食べ始める姿を見た浦和の義母・菜々子が、そんな二人を見てやっぱり目を丸くしていたが――。
やがて『くすっ』と笑顔をみせてくれた。大人しくて言葉少なめで、ただにっこりしているだけのお母様だなと思っていたけれど、楽しそうに眺めてくれ『私たちもお好みの丼をいただきましょう』と、両親に祖母に微笑みかけてくれる姿を見て、千歳はホッとする。
目の前の義兄夫妻も呆気にとられている。
おふたりも、リミッター外した姉弟の大食いをこの日初めて目の当たりにしているのだ。
「え、え。もう二杯目? え、朋重。ほんとうに千歳さん、こんなにいつも食べているのか」
「普段は俺たち同様の普通の量だよ。リミッター外したら幾らでも行くんだよ。見ていてると胸がスッとしてくる」
「た、確かに。うちの丼物、こんなに美味しそうに食べてくれるだなんて、確かに嬉しいもんだな。え、ちょっとまって。伊万里君、もう三杯目?」
「ふぁい。四杯目、五杯目オーダーしていいっすか」
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