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あちらは、見合いを終えたあとのようで、愛らしい着物姿の若い女性がそばにいた。見覚えのある彼の母親も、品の良いお嬢様の父親も一緒だった。
杏里に結婚を匂わせ身体だけ奪った男が、見下げた目つきで意地悪い笑みを浮かべていた。
「ひさしぶり。その後はいかがかな。俺はね、やっと理想の女性と結婚することになりそうなんだ」
だから、なに。もう二十ちょっとの娘じゃない。
杏里も気強く睨み返していた。
それに。あれから五年。まだ見合いをしているのかと気がつく。
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