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「行ってきます」
「気をつけてね」
早起きをして、時間通りに食事をして、運動のための時間を朝に取る。
寿々花には苦にはならないスケジュールだった。
ひさしぶりの札幌での生活。
まだ雪が残る三月だが、北国では気温が緩み春の気配を感じる時節。それでも道外から来た人間にはまだ真冬に感じられることだろう。
瀬戸内地方から帰って来た寿々花も『忘れていた春の寒さ』ではあったけれど、『ああ、北国の春の空気。思い出す~』と身体の奥から懐かしさが溢れてくる。
小型犬であるよっ君は、ちょこちょこと歩いているが、それでも早足で進んでいく。
母が怪我をして散歩ができなくなってしばらくは、忙しい父がたまに散歩にだしてあげていただけ。丁度よく『お姉ちゃん』が同居することになって、毎日お散歩に連れて行ってくれる人と認識してくれるようになった。
近所の真駒内公園へと向かう。
真駒内がある南区は札幌市の広大な森林部分があるため、自然豊かな公園が多い。
真駒内公園も大きな公園のひとつで、野鳥に水芭蕉、カタクリの花の群生などが見られる。
散歩コースも、2キロコース、3キロコース、5キロコースとある。犬の散歩もしやすい環境が整っていた。
そこでよっ君を思う存分歩かせる。たまに一緒に走ってあげると、彼もムキになって走り出すので、寿々花も楽しみながら散歩に付き添えている。
寿々花も運動は嫌いではない。むしろ今の仕事に必要。なので体力作りは怠らない。わんちゃんのお散歩など、今日のように言葉どおり朝飯前であった。
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