恋すれば孤独 あとがき

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恋すれば孤独 あとがき

※1ページにまとめましたが長いです。ごめんなさい。 オムニバス第3話『恋すれば孤独』、最後までお読みくださってありがとうございました。 今回は、あとがきのページを設けてみました。 自衛官の恋、食べる魔女さんの恋と続いて、急にトーンがシリアスに暗めに落ちて雰囲気ががらっと変わるので、お楽しみいただいていたところ戸惑われる方も出るかもしれないと覚悟の上での連載決意でした。 私のTwitterではたまにこぼしていたことですが 『恋すれば孤独』と『花はひとりでいきてゆく』が繋がっている事情を、ここでも改めて。 ・私の個人サイト『茉莉花ドラッグ』を開設した時に、茉莉恵という名義で書き始めるための『スタート作品』として準備していたものでした。プロットに設定を組んでいたのは2010年になります。 作風が重いので、いつかいつかと後回しにして12年が経ちました。 ・恋すれば孤独は最初から小樽を舞台に、ヒロインの杏里がガラス工房に関わる設定にしていました。 いつかいつかと後回しにしているうちに、2014年、突如として『花はひとりでいきてゆく』を書き始めます。 もともと、ヒロインとガラスを結びつけたいと思っていたこともあり、カナ(花南)をガラス職人としました。これは『恋すれば孤独』を書こうとしていた気持ちが非常に影響されていました。 カナが修行場所として小樽を選ぶこと。遠藤親方に出会うことは、この『恋すれば孤独』を書こうと下準備をしていたからこその流れでした。 ・当時(2008~2010年)の私が書いている物語のいくつかは、変にねじ曲がった設定が多く、『あり得ない関係を、あり得る状況に置いて、どうなるのか書いてみたい』という願望から、契約夫妻+愛人という設定ができあがってしまいました。このあたり、恋孤独のプロットを作り始めた前に書き上げた『裸婦』(2008年)にも強く出ていたと思います。 ・2022年 もっと気楽にいろいろな作品を気軽に読めるよう、コンパクトにまとめてみようと思い至ります。『今日まで恋、明日から愛』の中の1話(1作品)として再チャレンジすることにしました。短めにもっと気楽に設定を丸くして『恋孤独』を書いてみようと。 『恋すれば孤独』は、『花はひとりでいきてゆく』より先に生まれていて、私の中では花南がいる小樽の向こうには、いつだって杏里と樹と美紗、そして優吾に遠藤親方がいました。このたび、奥にいた彼女彼らの世界を書き起こすことができて、長年の思いが実った気持ちでいます。 ・歪な形から最後に持っていくまで、やっぱり書いている私もちょっとしんどかったです😅 設定が設定なので強引に持っていた部分があることは否めません。 12年前に『歪だから面白い』と思っていたあたり、『花南の美大時代の作品は幼稚で奇抜』とおなじだったかもと感じたりしていました。 (ちなみに私、美大出身です。ガラスはしていませんが、いくつかの工芸を経験しました) 12年前のそんな私のおごりといいましょうか、歳を取った12年後の私は当時の私をぶん殴りたい気持ちで(笑)『とんでもない設定をつくりやがって』とか思いながら、なんだか暴れる若者を説得するような奇妙な気持ちで書いていました。 ・途中、毎日楽しみにしているというお声、前話魔女さんとかわらぬアクセス、毎日のスターに助けられました。 さらに、女性がどのような世の中で生きてきたかをほんのりと取り入れたいために、時代の価値観を表す用語なども取り入れてみました。そこを読み取ってくださり、扱った用語のひとつが、杏里が生きている時代にはまだ誕生していなかったことをこっそりと教えてくださるコメントもありがたかったです。物語の雰囲気を、背景もしっかり感じ取ってくださっているんだなと、物書き冥利に尽る思いでした。 ・暴れる若者を取り押さえながら書いてたので、1話自衛官や2話魔女さんを書いていた時よりも『書き上げられるのかな』と久しぶりの不安に襲われました。 ラストは『結局、三人がどのように落ち着いたか』が焦点でした。 三回変更しました(2010年初代プロットラスト⇒破棄、今回連載前に準備していた小樽でラスト⇒執筆中に違和感、破棄 みっつめ菜の花ラストを採用) ラストの内容が変貌していったように、やはり書いている時に『人の気持ちは記号ではなく生ものである』という経験もできたかな、今回……。と、長く書いてきているのにまだまだ未熟で、学ぶこと多かったです。 ・三人それぞれ同じように曖昧な気持ちを持っていて割り切れなくて、正しくなくて。きっとすっきりしない気持ちを持たせて読み手をどう考えて書いているのかという日々でもありました。 『名もなき朝の唄』にでてくる『秀星』の如く、これは書く私の『エゴ』だなと思いました。 そんな私のエゴに付き合ってくださった皆様、ほんとうにありがとう ・この物語を最後まで引っ張れたのは、読者の皆様の反応が大きかったです。すべての皆様の反応が、ほんとうに、どんな反応も有り難かったです。楽しみとおっしゃってくださる方からは毎日更新の力を、すっきりしないお気持ちを持ってくださった方からは、暴れる若者がこれ以上明後日の方向に行かないよう一緒に取り押さえる抑止力になってくださっていたと思います。思い出深い作品になりそうです。 私の独り善がりのチャレンジでしたが、念願の物語を書き上げられたことへのご支援後押しのお力添え、またこの作品を少しでもお読みくださった皆様に、心から感謝したいと思い『あとがき』といたします。 ★次回連載は…… 今日まで恋、明日から愛 第4話『マザコン婚にも福はある』 テーマは、気になる男性がマザコンかもしれない? というお話 荻野劇場再びです😌 ・次回はまた2話『食べる魔女の婿取り物語』で登場した、荻野製菓が舞台になります。 千歳に朋重に伊万里が再登場、戻って来ます。今度は脇役です。 同時に、1話の自衛官のお話と、3話の恋すれば孤独の登場人物とも、ちょっぴり繋がります。 4話で最終話として止めるか、また書けずにおいたままの1作を5話として出せるかという準備状態ですが、最後まで北国縛りで連載していく予定です。 ・なので。『恋愛オムニバス』という表紙につけていたサブタイトルを、『北の恋オムニバス』に変更いたしました。 もう少しつづきます北の恋オムニバス。引き続きお楽しみいただけましたら幸いです。  2022/06/25 市來茉莉(茉莉恵)
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