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でも。この本社で伊万里主任を狙っている女性が多いのは確かだった。
しかしこちらも手強い。いつも姉と一緒にいて、近寄りがたいと言われている。
彼も姉の補佐に付けられていて、今後は経営陣になることは保証されている。セレブ婚を狙うなら伊万里となるのだろう。
なんか疲れたな。
柚希はお弁当を食べ終わり、ため息を小さく落とした。
ランチを終えて本店店舗に戻ると、また沢山のお客様との対応が待っている。
店頭での接客だけではない。地方発送の手続きなど、やることはいっぱいだ。
バックヤードから店頭に戻ろうとすると、そこに清楚な紺色のワンピーススーツを着た千歳お嬢様『荻野室長』がいた。
同期生の小柳店長となにかを話している。
「これさ、最近、動きがよくないよね。天候のせい?」
「いやあ。どうかな。最初は新商品ということで動きもよくて、商品単品としては上位売り上げを占めていたんだけどな。洋風か和風どっちつかずというところがあるかもしれない」
「飽きられてきたのかな。ちょっと再検討してみるね。なにか気がついたら教えて。それから、またギフトボックスに、このメモのお菓子を詰め合わせてくれるかな。私の個人支払いでカードを切ってよ」
「またかよ。どこに持って行っているんだよ。いちごチョコサンドのサクサクパイの数が増えているし。よほどのお得意様なんだな」
「そうなのよ~。ちょっとね、心強い女神様と知り合ったとでも言っておこうかなあ。新商品の閃きをもらいに行くの。いちごサンド多めにしてね」
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