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「でも、一日ぐらい手伝ってよ。一日でいいから。だってあの遠い畑までひとりで行けるか心配なんだもん。で、差し入れなにがいいかな。伊万里さん、お菓子とか好きかな」
当てもないことに凄くエネルギーが使えるんだなと感心するしかない。でもこのエネルギーで小柳店長が一瞬だけ墜とされたんだなとも思えた。
「次、一緒の休みって来週の――」
萌子がそう言いかけた時だった。
「神楽さん。また荻野室長から依頼があったから、ギフト詰め合わせを準備してくれるかな。メモはこれ」
店頭にいた小柳店長がバックヤードに入ってきて、柚希のそばにいる萌子の話を遮るように二つ折りにメモ用紙を差し出してきた。
「また綺麗に包装をして紙袋に入れて、企画室2の荻野室長まで届けてくれるかな」
「わかりま……」
「私、やります!」
小柳店長をずっと避けながら仕事をしていた萌子が元気よく手を挙げた。
「すぐに準備をして。今日、夕方持ち出すみたいだから。間違いがないよう渡すように。では太田さん頼んだよ」
「はい!!」
萌子がストックがある保管庫へすっ飛んでいった。企画室2まで届けに行くということは、そこにいる伊万里主任に会えるということにもなる。
店長がその様子を見届けて、柚希のそばでため息を吐いた。
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