②伊万里君、逃げて!

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 ほかの同期の女の子たちに相談したほうがいいのかな。柚希はそう思い始める。放っておけばいいけれど『柚希は黙って見ていたの』とも言われかねない……。  仕事が終わってロッカールームで私服に着替えている時も、萌子は不機嫌だった。 「柚希。畑に一緒についてきてね。お願いだよ」 「関係者以外入れないことになっているでしょう。あそこ、トマトジャムの素材を伊万里さんが厳重管理して育てているところだよ」 「前まで行けばなんとかなるかもしれないでしょ。一度でいいから!」  小柳店長がいい断り方をさりげなく教えてくれていたことにも、柚希はいま気がつき、そのまま伝えてみたのに。それも効かない。  一度だけつきあえば気が済むのだろうか。
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