⑥レンジャー、レンジャー!

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「さて。何を頼みましょう。せっかくですから、皆でシェアをしませんか。これぐらいの人数がいないと、普段はなかなかできないでしょう」  会話しづらくなる空気を父が一蹴した。いちばんに喜んだのはお母様だった。 「嬉しい。いつもちょっとしか食べられないので、気になっていたものを頼んでもよろしいですか」 「もちろんです。ちなみに、私のオススメは、ジャガイモのニョッキです」 「あら、気になっていたんです。でもこれだけでお腹いっぱいになりそうで、いつも結局パスタひと皿になってしまって」 「だったら丁度いいですね。ひと皿決まり。ユズはどうする」 「いつもの蟹のトマトクリームパスタかな。あ、ウニパスタも始まっているよ」 「よしよし。両方とも頼んでシェアをしよう。ヒロミ君はいかがいたしますか」  遠慮していた店長が、父がぽんぽんと進めていくテンポにちょっと焦りながらも、流れにのるようにやっとメニューに目を通した。 「牛肉のミラノ風ヒレカツかな」 「お、いいですねえ。それ、私も気になっていたんですよ。うん男子らしい選択! 男同士で分けましょう。ああ、それとですね。ここのお店、特製のジェラートがあるんですけれど、今日は店頭に出る日が不規則な『レモンジェラート』を準備してくれているんですよ。そちらもデザートに絶対にいただきましょう。ユズの好物なんですが、私も好きなのでおすすめです」 「おいしそうですわね。ね、広海。絶対に頼みましょう」 「うん。今日みたいに暑い日は美味しそうだよな。そうしよう」  お母様が嬉しそうに息子を見上げて微笑む。小柳店長もそんな母親を見て、笑顔を見せた。すごく仲が良いことが伝わってくる。  うん。マザコンかも。でも、柚希は微笑ましく眺められている。
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