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「それがさあ。千歳ちゃんが、次に本社にいる私を訪ねてくる時は本店店舗から小柳店長を通して会いに来てとか言うんだよ」
「私を通して、ですか? そのような伝達はありませんでしたが……。確認いたしますね」
「いやいや、確認してもらうほどじゃないんだ。なんていうか『千歳のお告げ』というか~。一度、本店店舗を通って来てみてとかなんとか……」
「ああ、彼女の『なんとなくのお告げ』ですか」
「同期の小柳君は、あれのこと、なんとなくわかるんだ!」
「いやあ、何度か不思議な現象を目の前で見せられてきたものですから」
「さすが、同期! ということで、なんか訳はわからないんだけれど、その類いみたいなんだよね。今日はたまたま近くを通ったものだから、ランチを一緒にと思って来たんだけれど、千歳ちゃんが言っていたことを思い出して店舗から来てみました」
なんか不思議な会話をしているなと、柚希は聞き耳を立ててしまった。『千歳ちゃんのお告げ』とはなんぞや。もしかして、それが荻野のご加護と繋がっている? 素知らぬふりで柚希は伝票入力をしている。
「彼女の意向だったのですね。さようでございましたか。荻野室長に会うために本社ビルへ訪問されるなら、こちらのバックヤードからも入れますけれど、IDカードをお持ちですか」
「はい。持ってます」
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