⑬うほうほウッホ🦍

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「えーー! ほんとうにユズちゃんのお姉さんなの? モモちゃんのことでしょ!」 「そうです。モモ(ねえ)、です。私は小柄な母に似たようですが、姉は父方に似たようで背丈があって、男前女子なんです」 「まあ、こちらはこちらで。またクールで素敵!!」  ぐったりしていたのに、また芹菜さんの表情が生き生きしてきた。  広海店長も仰天して、柚希のスマホを手にしてもう一度姉のメッセージを再生させている。 「え、お姉さん。第一空挺団って、習志野にいるのかよ」 「いまは。ですけどね。落下傘部隊が降下訓練する時にチヌークを操縦するので、あんな喩えを面白がってしているだけだと思います。でも、ドSは確かですね。はい」 「うっわ。カレシさんのほうがゴリラっていいたくなるほどムッキムキじゃないか。さすが空挺隊員!」 「二年ほどお付き合いしているんですよ。少し前まで勤務地が離れていて遠距離恋愛だったんですけれど、夏の異動でまたおなじ駐屯地になったようで、ふたりそろってのビデオレター送ってきました」 「ちょっと待って。よくよく見たら、お姉さんと空挺さん、結婚の挨拶にくるって内容じゃないかこれ」 「そうみたいですね~。ちょうど姉とヒガシ兄さんが映っている動画があったので、おふたりにご紹介がてら見せてみました。あ、一般公開の日に姉がデモンストレーションでチヌークを操縦している動画をお兄さんが送ってくれて……」  さらに迷彩柄の大型ヘリが空へと飛び立つ動画を再生してみた。  また小柳母子が食い入るように見てくれ『凄い凄い』と大興奮。芹菜母の小さなお部屋が熱気で湧く。  笑い声が響いて、冗談が飛び交って、芹菜母はいつのまにか二杯のお粥を食べ終えていた。
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