⑭まっしろな百合の夏

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 最近のご時世で、飲み会などの送迎会は行わず、朝会でお別れ会をささやかにするということで済ませている。この時になってようやく萌子は『いろいろとご迷惑をおかけしました。ここでの経験と反省を生かして次の勤務先でも精進いたします』と当たり障りない挨拶をして、すっかり元気をなくして、大人しくなっていた。  村雨女史からも連絡があった。 『こっちでも噂になって流れてきたよ。本店で婚活脳で暴れた女子社員がいるって。柚希が一緒にいることを知っている同期には、私から、ユズがなにを言っても通じなかったみたいと連絡済みだよ。萌子には、どうして柚希の忠告を受け入れなかったのかと言っておいたけど、そこでもデモデモダッテだったわ。まあ、工場にも上層部と関係の深い管理者いるからね。あっちでも騒ぎを起こしたら今度こそ首が飛ぶよと脅しておいた。あと柚希にしばらくメッセージを送るなとも言っておいたから。どうせ柚希のせいにするようなメッセージしか送らないと思ってさ。愚痴は私に言えと伝えたけど、いまのところ来ない。ほかの同期にも迷惑メッセージを送って確認したら、その時点で同期会から外すとも言っておいたからかな』  ――とのことだった。  その時もまだ『店長が秘書室へ異動になるだなんて、もっときちんと向き合っておけば』と言っていたらしく、柚希としてはもう絶交レベル。  それでも村雨女史が『あっちの男、こっちの男と言い寄ろうとして、萌子は男をスペックでしか見ない尻軽女だって男子たちが言っているみたいだよ。そのことについてはどう思ってるの。かわいい萌子ちゃんだったのに、評価駄々下がり中だよ』とキッパリ言ってくれたらしい。
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