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もうそこで萌子がデモデモダッテ砲を一時間ぐらい放ったらしいので、やっぱり反省はしてなさそうだった。
せっかく道内有数の優良企業に就職できたのに。ここで首になったら、あとの就職活動だって大変になる。萌子、背水の陣で踏ん張るしかないと村雨女史もため息を吐いていた。一年ほどして落ち着いていたら、同期会でもしようという話になった。
広海のことも、もう店長と呼べなくなる。
これまでの功績もあり、秘書室では『主任』という役職もつくようだった。驚いたのは、秘書室所属だが、細野さんが直属の上司になり教育係になるとのこと。細野係長と常に行動をして、どのように『荻野という主君に仕えるか』を教え込まれるとのことだった。
つまりは、将来『千歳お嬢様をお守りする準備』をしていくことになるのだそうだ。
そのために細野係長同様に『秘書室所属だが、千歳お嬢様とともに企画の仕事をする』という業務になるのだとか。
それでも『企画もやってみたかったんだ』と、広海は楽しみにしている。
もう千歳お嬢様のことは……諦めたのかな。
だがどう考えても、千歳お嬢様は結婚を決めた男性と仲睦まじい様子で、誰も入る隙がなさそう。彼女に恩義がある広海にしてみれば、『彼女が幸せならそれがいい、それを守る仕事をする』という気持ちなのだと柚希は思えるようになっていた。
盛夏の百合が咲き始めたころ、元気になった芹菜母と広海と一緒に『百合が原公園』へとでかけた。
暑い日だったが、車椅子の芹菜母に暑さ対策をしっかりして、植物いっぱいの園内をゆっくりとまわる。
白いアジサイに、カサブランカ、バラにラベンダーと盛りだった。
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