⑮リーサルウェポン?

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「お、そうなのか。お祝いということだな。わかった、わかった。喜んでおうかがいすると伝えてくれ」  なんとか父を誘うことができた。  でも、父はわかっているんだろうなと柚希は思っている。  広海は秘書室に異動すると、細野係長といつも一緒にいる姿を社内で見るようになった。  業務は企画室主任という形になっていて、伊万里主任と同等の立場でほかの従業員に指示ができる権限をもつことに。  千歳お嬢様とともに、荻野の新しい商品について話し合うことが多いらしいが、これまで現場店舗で菓子の売り上げや傾向を肌で感じてきたからこそ、情報分析もよくできているとのこと。伊万里主任が、通りすがりに教えてくれたことがある。  夏の商戦も終わったので、石狩ドライブに行く計画のため、揃って休暇が取れるように摺り合わせも始めていた。企画室2から三人揃って休暇申請できるのかと案じていたが、そこはお嬢様が指揮している部署ゆえか融通がきくようで、『大丈夫。細野さんが許可してくれた』と千歳お嬢様が言っているのだとか。柚希的には『いったいどっちが偉い人なのか』と不思議に思うが、なんとか揃って休めそうとのことだった。  父と食事会をする前に、村雨女史とも久しぶりに食事をした。  彼女も異動で、販売激戦区の札幌大通にある百貨店にはいることになったそうだ。勤務地的には、柚希の本店と近距離になる。  これから頻繁に会うことができそうだった。  時計台近くにあるスープカレー店で待ち合わせた。
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