⑮リーサルウェポン?

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「そうだったんだ! あの小柳店長と、いや、もう小柳主任だね。そっかー。でも柚希と小柳さんだったらしっくりするわ。柚希はお母さんとは早くに死別しているし、小柳さんはお父さんと。どちらも親御さんひとり残されて暮らしてきたから、気持ちがわかるよね」 「でも。私は父と姉が元気にサポートしてくれたから、それほど苦になってはいなかったけれど、小柳主任は障害を負ったお母様との暮らしだったから大変だったと思うのね。たまたま父の仕事についていった小樽で遭遇して、お母様の状態がわかったことなんだけれど。そのころ同時に萌子が、伊万里主任がいい、朋重さんがいい、やっぱり店長がいい、でも店長はやっぱりマザコンだから条件があわないと行ったり来たりしたり、マザコンだって言いふらしたり、バカにしたりしていたから、余計に頭にきていたの。だから、本当はもう会いたくもないし、話したくもない」 「なるほど。それさ、萌子が『小柳主任と柚希がつきあっている』と知ったら大変なことになるよ。私が狙っていた男を横取りしたと騒ぐと思う」 「私も、そうだと思う。もし同期会とかで、結婚前提のお付き合いを始めたことを知らせるようなことになったら、萌子がそう言い出すことも覚悟しようと思っていたところ。そうしたら、花乃香ちゃんが今日、私と接触できないという話を教えてくれて、正直ホッとしているというか……」  花乃香もビールグラスを傾けつつ『ふうむ』と唸り出す。  感の良い彼女が、柚希より先に言い出した。 「ということは。柚希には、荻野のご加護がついたかな」
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