⑮リーサルウェポン?

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 言うか言うまいか迷っていたのに。これまでの花乃香なら『疑わしいけれどあるものとして信じておく』程度のことだったろうに。今日はもう、荻野のご加護を、すっかり受け入れた言い方だった。 「信じるの? はっきりしないことだよ」 「でも。伊万里主任も浦和副社長も、千歳さんの家族。その二人に手を出そうとした女だったから弾き出されたとも言えるよ。小柳主任は千歳さんの同期で信頼されているし、ついに千歳さんのお側付になったんだよ。その側近みたいな男性がつつがなく仕事を続けられるように、彼の家族を支える女性にもご加護が働いたとも思えるよ」 「実は。なんか、お告げみたいな夢も見ちゃったんだよね。これから荻野を支える使命が私にも関わってくるから、要らない者は切っておくって……」  さすがの村雨女史、花乃香もビールグラスを持ったまま唖然としていた。 「こっわ。こわいこわい! やっぱり私、ご加護を信じることにする!! それって、それって、ほんとうにユズから萌子を徹底的に排除しているってことじゃないの!?」 「半信半疑だけど、花乃香ちゃんの話を聞いて、本当っぽいなと私も驚いているんだけど」 「うわー、鳥肌たった! うん、わかった。もうこのまま放置しておく。連絡がどうしても必要なら、また繋がることもあるだろうし、会社を通じて連絡取れることもあるだろうからね」  いつもクールで落ち着いている彼女が、鳥肌がたった腕をさすりながら『初めて荻野のご加護を実感した、体験したかも』と大騒ぎ。  さらに柚希はふと気がついた。 「そうなると、急に近距離に来た花乃香ちゃんは、これから荻野のご加護に近づいてきたのかもしれないよね」
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