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その企画室2は、千歳お嬢様が『室長』として責任者となっており、部署員はお嬢様教育係と言われている細野係長に、いずれこの企画室を引き継ぐだろうと言われている荻野家長男の伊万里主任。若い感性を取り入れるために千歳お嬢様が自ら採用した社員が、男性と女性が二名ずつ四名いるとのこと。そして最近、秘書室所属だが企画室預かりになって異動してきた広海、小柳主任で成り立っている。
その企画室2へと近づいてきたら、デスク室の前に広海が立って待っていてくれた。
もう販売員制服を着ることがなくなった広海は、すっかりオフィススタイルの装いになっていて、気温が高い今日も涼しげなクールビズでまとめていた。襟はボタンダウンになっている紺地に白ラインのストライプシャツに、黒いスラックス。大人っぽい姿が多くなってきて、柚希はそんな彼を見るたびにうっかりときめいてばかりいる。
柚希を見つけてくれた彼は、今日も黒髪和風メンズの優しい笑みで迎え入れてくれる。
「千歳、そこのミーティング室で待ってくれているから。行こうか」
「うん……。緊張する」
「大丈夫だよ。俺と同期なんだから」
それでも、つい最近まで一緒にお茶するとかドライブに行こうとか、目の前で話すことなんて皆無の雲の上の人だったのだから。柚希としてはまだ慣れない。
そんなドキドキする気持ちを抱えたまま、大人っぽい姿の広海の後についてミーティング室へ。
「室長、失礼いたします」
会議ができるようになっている小さな部屋、そこへ入ると、大きなテーブルに千歳お嬢様と伊万里主任、思わぬことに浦和副社長までいたのだ。
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