⑰神様なにしたの?

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「あ、ごめん。小柳君。だって、遠慮しがちな小柳君が、まさかのプロポーズ済みだなんて思わなかったんだもの」 「俺、そんなに悠長に構えてはいなかったけど。まあ、母にせっつかれはしたけれどさ」 「お母様が! なるほど。さすが、お母様。そっかー。私が余計なお世話をするまでもなかったのかー。あー、でも、おめでとう!! 実は私、わかっていたのよね。この前、お母様と伊万里とカフェでお話ししたでしょう。その時に、神楽さんと小柳君が並んでいるのを見て『これはよいご縁』、同期生としてカップル成立協力すべしという、なんかが降りてきたの~」 『なにかが降りてきた』と嬉しそうにいう千歳お嬢様を見た柚希は、彼女のまわりになにかキラキラしたものが降り注いだ錯覚をみた気がして、思わず目をこすった。  隣にいる広海もギョッとしていた。おそらく『千歳のなんとなくのお告げ』みたいなものに、自分たちが当てはめられたことに気がついたのだろう。  さらに千歳お嬢様が続ける。 「だからね。石狩に一緒にドライブに行こうと誘ったの。そこでめちゃくちゃお節介をして、ふたりを接近させちゃおうってね。そうしたら、そんなお世話しなくても、小柳君ちゃんと捕まえられたんだね! おめでとう! なんだか、私……、嬉しい……」  きらきらとはしゃいでいたのに、今度はグスンと涙ぐむお嬢様の忙しさに、広海も柚希も唖然……。しかも千歳お嬢様が石狩ドライブに誘ってくれたのは『カップル成立させちゃうわよ大作戦』だったという真相を知り、さらに柚希は唖然とするしかない。
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