⑰神様なにしたの?

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 感激ばかりで言葉が出てこなくなった姉の代わりとばかりに、伊万里主任が入ってくる。 「ここんとこさ。ユズちゃんの周辺って妙に騒がしくなかった? あれ、姉ちゃんのご加護みたいなやつの『仕事』だったと思うんだ。俺、全然気がつかなかったんだけど、俺のそばに来ようとしていた子が本店店舗にいたんだって? あの子、なんだっけー、もつこ? もあこちゃん? 結局俺に接触できなかったしょ。うちって、姉ちゃんと祖母ちゃんと父ちゃんのそばにいると、そういうこと多いの。そんでもって、おめでとう。姉ちゃんのそばに来られたってことは、今後、荻野で責任を果たしていればけっこう安泰ってこと。つまり跡取り娘のそばにいていいよ『合格』ってことなんだ。長いお付き合いになると思うからよろしく」  伊万里主任からも歓迎と祝福の言葉をいただいて喜びたいところだが、やっぱり『摩訶不思議要素』がさりげなく混じっていて、柚希はちょっと怖くなってくる。でも、柚希もどうやら広海とともに、お嬢様のお側にいられる一員として認められたということらしい? 「私の脳内もけっこう忙しかったわよ。石狩に一緒に来いとかなんとか言われちゃって。それに同期として、跡取り娘としても小柳君の補佐は絶対に必要だから、あなたの将来を盤石にしておきたかったのよね。そのことに関しても『その気があるなら躊躇わずに行きなさいよ。これ、最高な出会いの最初で最後のチャンスだからね』と発破かけるつもりだったのよ~。なのに、どうしたのかなあ。私のそばにある『お仕事さん』、私が手を下すまでもなく『こんなに早い結果が出た』りして、今回はなにしたのかしら~」  腕を組んでうんうんと、千歳お嬢様が唸っている。
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