⑰神様なにしたの?

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 今日は女ふたりで、川辺にあるお蕎麦屋さんでランチをする約束。  帰りは河川敷をお散歩して、夕方から一緒に夕飯の支度。夏の遅い夕暮れに空が茜色になってきた頃に、広海が帰宅する。  これから家族になる三人で食卓を囲んで笑いあう。  まだ結婚前だからと、柚希の部屋は別にしてもらっていた。空いている部屋を柚希用にと広海が準備してくれていた。それでも夜遅くまで、彼とパジャマのままお喋りをして寄り添う時間も積み重ねている。  三人で温かくて明るくて優しくて、芹菜お母さんらしい素敵奥様の食卓を楽しんでいる心の片隅で、一人で食事をしているかもしれない父を思って胸が少し痛むときがある……。でも必死で隠した。こんな気持ちになるなんて。  それは広海も一緒だったのか。 「なあ、柚希がこちらに来ている時は、お父さんも誘ってみないか」  自分たちが、父娘ふたりで暮らしていたところ、娘を取り上げてしまった気持ちは彼も持っていたようだった。  そう言ってくれて、柚希は泣きそうになってしまった。  それで芹菜母がどう言ってくれるのか。広海も柚希も揃ってうかがう。 「そうだわ。今度ね、勝さんと一緒に映画を見てランチに行きましょうと約束をしたの。お父さんが一緒だったら、ふたりででかけてもいいでしょ。来週なの。いいわよね、広海」  ん?  広海と柚希は一緒に表情がそのままに固まっていたと思う。  なんですか。そのデートみたいな、おでかけ?
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