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結局、『俺はマザコン』で、柚希に至っては『私、ファザコンだった!?』という戸惑いも渦巻く。
だから柚希の頭の中はぐるぐるぐるぐるしている。
「落ち着いて。柚希。たぶん、お父さんも時間が自由な勤怠スタイルだから、俺と柚希の負担にならないように、親同士でやっていることだと思うんだ」
「いよいよになったら。お姉ちゃんに相談しようかな……」
「でもなあ。余計な心配はさせたくないよな。遠くにいるし、精神集中しなければならない職務を背負っているし」
「そうして気遣って、後で『どうして相談しなかった』と怒られることもあるから。早めに伝えたほうがいいにはいいかもしれない」
「うーん。お姉さんとヒガシさんの帰省、もうじきだろ。帰ってきてから相談してみるとか」
「そうだね……」
いったいどうなっているのか。二人でひといき、アイスカフェラテを味わっているときも、テーブルに置いているふたりのスマートフォンから、同時に着信音が聞こえた。
「お父さんからだ。『芹菜さんと食事をして帰ります。ご自宅まで送るから広海君に20時までには帰ると芹菜さんからも伝言送ってくれた』――だって!」
「俺もだ。『勝さんと食事をして帰ります。送ってくださるとのことなので20時までに帰宅します。夕食はありません』――だってさ!」
お互いのスマートフォンを付き合わせ、あちらも仲良くお食事をすることになっていて驚愕する。
「もうしかたがない。俺たちもどこかで食事をして帰ろう。柚希は今日は実家に帰るんだろ」
「うん。そのつもり」
「それなら早めに食事をして、遅くならないように帰宅しよう」
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