⑱婚約ラッシュ!?

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「気になっていたんだけど……」 「うん?」 「ここの焼きうどん……美味しそうだったから……」 「いいね。外も暑いし、ここでこのまま食事をしていこう」  伊万里的フルコースを思い出して、やっとふたりで笑えるようになる。  マスターを呼んで、焼きうどんとピザをシェアしようということになった。  まだ彼がもう少し若いときの荻野姉弟大食いエピソードを聞いて、柚希は驚いたり、一緒に笑ったりして、モヤモヤしていた気持ちが晴れていった。  食事を終えて外に出ると、さすが北海道、少し気温が下がって湿気もないので夜風が心地よく吹いていた。  テレビ塔も夏の涼しげな色合いのライトアップになっていて、広海と一緒にお互いが向かう駅の別れ道まで歩いて行く。  彼がそっと手を繋いでくれる。柚希も握り返して、背が高い広海の顔へと見上げて微笑む。もうこれも自然なことだった。 「二人きりになるって、あまりなかったな」 「そうだね。でも三人が自然だよ」 「母さん。気を遣ったんじゃないかな。二人きりにしたいって」 「結婚したらそんな時間もできると思ってるよ」  なのに。そこで広海が強く柚希の手を握り返してきた。ちょっと汗ばんでいるように感じる。 「ほんとうは……。俺の自宅に柚希が夜も一緒にいるとき。けっこう耐えているというか……」 「そ、そうなんだ……」 「でも。あの家ではどうしても。まだその気になれなくて。柚希の実家など以ての外だ。だから……」  いまここにはふたりきり。  お互いの父と母の心配はいらない。しっかりした柚希の父が、安全に彼の母を守ってそばにいるから、今は心配などない。だから……。その先が柚希にも通じる。 「遅くならないようにするから」 「は、はい」
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