⑱婚約ラッシュ!?

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 柚希も決した。あんなに親のことで一緒にもやもやしていたのに。  そういうこと? そうなの? どうなの?  それでも、婚約した彼と惹かれ合う気持ちも止められない。  広海と柚希はその気持ちのまま。ふたりきりになれるところへと向かう。  夏の肌は汗ばんでいるからきちんと流して。  でもほてる肌の熱さに触れた彼が『ユズらしい甘い匂いがする』と優しく微笑んで、柔らかいところに口づけてくれた。  彼からは緑の匂いがする。あの優しい空間で育まれた柔らかで穏やかな、優しい匂いだ。男っぽい荒々しさは想像しがたい彼だけれど、濃厚な蜜にゆっくり深く沈み込んでいくような、甘さが身体中にまとわりつく愛し方をしてくれた。  最後の濃密なキスを交わしたとき、柚希はやっと『愛している』という熱い気持ちを知った気がした……。  父と芹菜母が頻繁にでかけているなと思ったら、あるときからぱたりとやんで、いつもの父と母に戻ったようだった。  やがて父が小柳家の食卓に加わるようになった。広海が誘うと『では、お言葉に甘えて』と遠慮なくやってくるようになった。  あれはなんだったのだろう。広海と話すが、やっぱり二人きりにしてくれたんじゃないのかとか、芹菜母がひとりで『お父さんも遠慮なく我が家に来てください』と説得してくれたのではないかと思うことにしておいた。 ---😇📡  千歳お嬢様たちと、楽しい石狩ドライブも決行済み。徐々にプライベートでもお近づきに。一緒に食事をしたり、以後もダブルデートでドライブすることも増えてきた。伊万里主任と芹菜母も一緒に連れて行くことも多い。  北国の短い夏が早足で過ぎていこうとしているころ。
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