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男勝りな口調に、ついに目が点になった寺嶋リーダーが黙ってしまった。ほんとうに神楽さんのお姉さんと言いたそうなお顔をしていたので、柚希も苦笑いしか出てこない。
リーダーの許可を得て、妹の柚希自ら、姉を接客することに。
「ギフトセットがおすすめかな。人数とか好みとか、あとアレルギーとかあれば教えて」
「これ。個人的にもいろいろ頼まれたメモなんだ。どれぐらいの量のものを選べばいいか、分けたらいいか、わからないんだよ」
「どれどれ。うんうん。なるほど。お待ちくださいますか」
バックヤードに入って、空いているギフトボックスを持ってきて、店頭で姉というお客様の前でバラ売りの菓子をメモのお好みに従って詰めてみる。
「既にセットになっているものよりも、お好みのお菓子を選んで詰められます。個人に合わせたセレクトにしてみますね」
「お、いいね」
「お洒落なイラスト付き缶もありますよ」
「うん……」
男勝りな姉が、こんな時に柚希を優しく見下ろしていた。
背が高い姉のそんな目線に気がついて柚希も見上げると、女性らしい微笑みを見せているのでドキリとした。こんな時の姉は超美人で色っぽいのだ。後ろで黙って付き添っているだけのヒガシ兄さんも、そんな姉を優しく見つめている。
「お仕事、立派にしてんだね。ちょっと姉ちゃん泣きたくなった」
「えー。お姉ちゃんだってすごいお仕事しているじゃない」
「人のために一生懸命の柚希が変わっていなくて、この仕事が好きで、似合っているなと思ったんだよ」
「お姉ちゃんに言われると恥ずかしいよ」
制服姿の妹をしみじみと見下ろしているので、そんな姉の眼差しに柚希もちょっと胸に込み上げるものが……。
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