5114人が本棚に入れています
本棚に追加
「ああ、ここに先にきた理由がもうひとつ。仕事中に悪いんだけれどさ。父さんが変なかんじなんだよ。ちょっとさ。ヒガシを連れていく前に、柚希がなにか知っていないかと思ってさ」
いろいろと心当たりがある柚希はドキリとする。
父が『百花が変』と言って訝しんでいたのは、姉が結婚の挨拶をするだろうことを黙って帰省するから。
姉が『父が変』というのは……。次女の婚約者の母親と親密そうなことが原因?
ちなみに姉には既に『婚約した』ことは報告済み。姉もそのつもりだろうけれど、柚希自身もまだ姉から正式な報告はもらっていない。おそらく最初に知らせたいのは父親なので、妹に先に教えるつもりがないことは、柚希も感じ取っている。
なので、姉が婚約するだろうことはまだ柚希から聞けずにいる。姉も妹の婚約を喜んで祝福してくれたが、自分がどうするかは教えてくれなかった。
「私にさ。帰省した時に大事な話があるとか言うんだよ。柚希が婚約したこととは別とか言うんだ」
父がそんなことを姉に言っていたとは知らず、柚希は吃驚する。
ちょっと待って。私もお姉ちゃんも、まさかのお父さんも、皆が皆『婚約します』とかじゃないよね!?
最初のコメントを投稿しよう!