5114人が本棚に入れています
本棚に追加
「えー、二尉ったら。こんな時にそんなこと言うんですかー」
「飲みすぎるんじゃねーぞ。陸自のやつら際限ないとか言われたくないだろ」
「こら。百花。休暇中に上官風吹かすな。ごめんな、ヒガシ君。男みたいに育てちゃって」
「いや~、そこに惚れて惚れて百花さん争奪戦で勝利しただけで、俺は幸せなんですよ。教官」
「いや、だから、父ちゃんはもう教官じゃないから」
「あの、冬季遊撃の教官っすよ! 強者じゃないっすか」
「君だって、夏季レンジャーに空挺レンジャーとってるでしょ。第一空挺団なんてエリートだよ! なのにこのモモっ子たら、空挺団の男を捕まえておいて、二尉というだけで偉そうに」
「はい。すみませんでした。元三佐」
姉がしおらしく素直に頭を下げたので、ヒガシ兄さんが『うわ、さすが教官』とおののいている。
でも次には姉は女らしい笑みを見せて、ちょっと照れ笑いを見せた。
そんな賑やかな自衛官ファミリーを目の前にして、芹菜母も広海も楽しそうに笑っている。
「ユズちゃんはかわいいけれど、百花さんもとっても素敵なレディさんね。しかもかっこいいわ。素敵!」
上品な奥様である芹菜母にそう言われ、あの姉が気恥ずかしそうにうつむいた。男ばかりの世界にいると男勝りのほうが調子が出るけれど、優しい雰囲気の女性の前では、女らしくしなくちゃと焦るらしい。
「今日、初めてお目にかかって、妹の義理のお母様になられる芹菜さんのほうがとても素敵ですよ。妹からうかがっています。女性らしいお部屋を上手に作られていると。こんど、是非、私も参考にさせてください」
最初のコメントを投稿しよう!