⑲報告します!

3/7
前へ
/916ページ
次へ
「まあ、嬉しい。ぜひぜひ、いらして。女性パイロットの方が親戚になるなんて、あちこちに自慢しちゃうわきっと」 「芹菜さんもぜひ。今度は駐屯地の一般公開にいらしてください。車椅子でチヌークに乗れる手続きとりますよ」 「ほんとうに!? ねえ、広海。聞いた? ね、その時は連れて行ってね」 「もちろんだよ。俺も目の前で見てみたかったんだ」  和気藹々とした会話が弾んでいくので、柚希もホッとして一緒に笑い合っていた。  スタッフがオーダーを取りに来る。父がメニューを広げ、各々の希望を聞きながら伝えていく。  ジンギスカンの肉に、一般的な焼き肉に、ラーメンサラダ、蟹足、それぞれ希望のアルコールなど。オーダーを取り終えるとスタッフが部屋を出て行く。  そのタイミングだった。急に父の表情が硬く変化したように柚希には見えた。『結婚とは』と柚希に厳しく説いたあの時の父に似ていたから、柚希はドキリとする。 「芹菜さん。先に話しておいてよろしいですかね」 「そうですね。それからゆっくりお食事したほうがいいかもしれませんね」  対面するように座っている親同士が目線を合わせ、一緒に頷き合っている。  柚希は隣にいる広海と顔を見合わせ『まさか』と緊張を募らせた。 「娘たち、そして広海君に伝えておきたいことがある」  まさか、まさか。柚希と広海は揃って戦々恐々としたし、なにかを察していた百花姉も気構えた表情に固まった。
/916ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5114人が本棚に入れています
本棚に追加