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一緒に住むとしても『親同士も恋愛関係が含まれるのか』という疑惑がまだ広海の中では抜けていないから、ついに彼からそこに触れていた。
そこも芹菜母は落ち着いて、悠然と返答する。
「四人で住む二世代住宅を建てられる土地を探していたの」
二世帯住宅!?
さらに、柚希と広海は揃って驚きおののいた。
今度は柚希が身を乗り出して、向こうにいる父親に食ってかかる。
「お父さん! 二世帯ってどういうことなの? 私と広海君が一緒に住む空間と、お父さんと芹菜さんが住む空間と分けるってこと!? なに、お父さんと芹菜さんは……」
「うっわ!! 待て待て待て待て!!! ユズ、おまえ、なんの想像してるんだよ。というか……。あーー、そう見られる可能性もあったのか! 迂闊だった~」
父が顔を赤くして目を覆って項垂れた。
「違う違う! ユズと広海君と芹菜さんが一世帯として暮らして、父ちゃんの独り暮らしで一世帯、それで、二世帯で住むってことだよ!」
「あ、」
やっと『二世帯』の意味を知って、柚希は唖然としてフリーズ状態になる。
「母さん、いつのまにそんな話に……」
「広海、あなた。ユズちゃんと結婚すると、お父さんがひとりになることを気にしていたでしょう。それは母さんもよ。きっとユズちゃんもそうよね。お父さんがひとりきりになること心配なのに、我慢していたのでしょう」
やはり芹菜母は、母だ。柚希のそんな気持ち、とっくに見抜かれていたようだった。三人で食卓を囲んで笑い合いながらも、若い息子とその婚約者の女の子の気持ちなど、年長者としてお見通しだったのだ。
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