⑲報告します!

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「そういうことだ。古くはなったが、おまえたち姉妹が育った家で、亡くなった母親との思い出もあるだろう。だが、小柳のお母さんと家をともにすることは、百花にもメリットはあると思う。おまえも、いずれ、結婚をして里帰り出産をすることもあるだろう。その時、片側一世帯に住んでいる父さんのところに帰ってくればいい。だが、すぐ隣には女手として芹菜さんがいてくれる。きっと、これから、おまえたち女の子が母親になるには、父さんより、女性の力が必要になることが出てくるだろう。それも見越してのことだ。百花、どうだ……。あの土地を売るにしろ、おまえにも相続の権利などいろいろある。その相談もしておきたかったんだ」  その時だった。姉も隣にいるヒガシ兄さんとアイコンタクトを取った。  彼がそっと頷いた。 「いいよ。父さんと柚希が決めたことに従うから。この土地に住み続ける妹夫妻のためになるようにしてやって。それで、父さん――。私も、これからのことなんだけれど、」  姉がそこまでいうと、隣のヒガシ兄さんと揃ってすっくと立ち上がった。 「教官、いえ、お父さん。(ひがし) 心路(こころ)、百花さんと結婚をしたいと考えています。お許しをいただきたく参じました!」 「お父さん、お願いします。東君との結婚、お許しください――」  姉たちも、家族が変化していく波に遅れまいと、ここで結婚のお許しをもらいたいという申し入れをしてきた。  今度は、柚希と広海と芹菜母と並んでいる三人はハラハラと見守ることに――。
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