5117人が本棚に入れています
本棚に追加
本当の父であっても、本当のパパじゃなくても。継母でも。
私たちが重ねてきた日々がある。普通の形ではないけれど、私たちだけの、拓人のためのファミリー。その日々が、今日の拓人を助けてくれたと思いたい。
そう、ファミリーは、そうして形を成していく。いざというとき、家族を救う。一緒に過ごしてきた日々の思い出がきっと。
寿々花もお腹を撫でて、娘にもその日々を与えたいとそっと微笑んだ。
これからきっと、兄と妹の仲睦まじいしあわせな姿を見せてくれるはず。凜々しいお兄ちゃんになる拓人と、小さな女の子を思い描く。ふたりが手を繋いで……。
――と。そんな男の子と女の子の姿を思い描いた時。寿々花は急に気がついたのだ。
女の子。だったから?
拓人がもう少し大きくなってから真実を伝えようと決めていたはずだった。岳人パパとも将馬ともそう話していた。でも岳人パパが急に思い詰めて、まだ七歳の拓人に真実をつきつけたのは……。
また寿々花は振りかえる。秋の枯れ葉が舞う向こうで話し合っている岳人パパへと。
---🐶🍁
最初のコメントを投稿しよう!