②長子の母になる

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 朋重はもう、あの麗しい琥珀の目をうるうるさせて『ちーちゃんみたいな女の子が生まれるのかな。伊万里君みたいな男の子かな』と喜びいっぱいに微笑んでくれ、そのまますぐにスマートフォンを手にして、浦和の義両親に報告。  千歳も両親と祖母にも連絡、実家両親には初孫になるので歓喜にわいていた。  祖母もひ孫誕生に喜びつつも、『跡取りになるだろう子だから大事にね。神さんのいうこともよくお聞き』とも言われた。  伊万里もあたふた。『俺、叔父ちゃんになるのかよ。跡取りになるよな、その子。神さんつくよな、きっと。もしかして、俺たち姉弟みたいに大食いになる? え、どうなるの、え、え』と家族の空気がかわるだろうことに戸惑いつつも、『女か男かわかったら、すぐ教えて! なんか贈るし、おっちゃんとして守ってあげなくちゃ』と変な使命感も湧き上がっているようだった。  妊娠がわかって数日経ったところで、千歳の両親、父『遥万』と母『凛香』が訪ねてきた。  相変わらず仲睦まじい密着感で、それ以上に、孫が出来ると満面の笑みでやってきた。  植物園の緑が見えるリビングで、朋重自ら、両親に紅茶を振る舞ってくれる。  婿殿自らのおもてなしに、父も母もご満悦だった。  この日もきっちりとスーツ姿でやってきた父と、華やかな美魔女のムード満載、ドレッシーなブラウスとスカート姿でやってきた母。  そのふたりを正面に、千歳と朋重も椅子に落ち着いた。 「あら、朋重君が淹れてくださったお紅茶、おいしいわね」 「うんうん。なんでもできる婿殿で、娘を任せてほんとうに安心しているのだよ。ありがとうね、朋重君」
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