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ただ売り込みたい『温泉街』や『観光地』は、その会社それぞれとなる。特に浦和水産は、魚介の宝庫と言われる北海道の海の幸を扱っているため、荻野製菓よりも売り込み範囲が広域。全道の宿泊施設が全て対象になるほどだ。今回も、湖にある温泉街一帯のホテル旅館合同の試食会があるとのこと。
「契約はいいんだよ。浦和の石狩水産物はどこにも負けないと自負しているし、契約更新もほぼほぼ決定しているようなものだから。ただ、そこで、毎年ね、こちらを敵視してくる企業さんがいてね」
「道内でも有数である水産会社の浦和さんを敵視、ですか。首位も同然の浦和さんですから、どうしても抜きたいと思われる水産会社があっても不思議ではありませんけど……。そのような企業からライバル視されているということですか」
「いや、水産ではないんだよ。精肉業者さん」
「畜産企業ということですか。ホテル・旅館の食事では、魚介とお肉はそれぞれ大事なメイン食材ですよね。どちらも持ち味が異なりますし、なぜ、畜産企業の方にライバル視されるのですか」
フレンチコースでも、魚と肉は外せない食材であるし、宿泊施設の食事でも魚と肉はバランス良く出されるものだ。だからこそ争う必要もないように千歳には思えたのだが。
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