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「ああ、美味すぎて一気に行ってしまいました……。真ん中の赤身の火の入り方も最高。これは、焼いてくれる方の腕前があってこそですよね。レストランで食べるのが一番おいしく食べられる場所ってことかもしれませんね。うん」
「え、君。もう食べちゃったの!?」
「はい。美味しいです~。この1ポンドってめっちゃ映えますよね! アメリカンってかんじで、食べ応えもあるから、すんげえ肉の旨み、まるごとぱっくんってかんじでした! たくさん食べられない方でも、目の前で焼いて『1ポンド山分け!』とかシェアみたいなやり方にすると、この厚みで焼いたステーキの美味しさ、味わう機会が得られるのにな~」
伊万里がなんの気もなく呟いただろうことに、長谷川社長が真顔になった。
「弟君、面白いこと言うね。それ、うちのレストランでやってもいいかな」
「え、はい。俺も面白いと思います!」
「よし。やるぞ。あ、娘が次にフィレを持ってくるから待ってな」
「はーい。遠慮なくいっちゃいます!」
そこから怒濤の肉攻撃が始まった。
木乃美が次に伊万里に持ってきたのも1ポンドのフィレステーキ。次に持ってきたのは、千歳と朋重への普通サイズのフィレステーキ。
「ごめん、俺はここでギブ……です」
朋重がステーキ二枚で脱落した。なのに隣に座っている妻は、まだナイフとフォークを動かしてパクパク食べ続けている。
「ちょっと、千歳。あんまり無理するなよ。吐き気とかどうなったんだよ」
「うん。なんかすっごい食べられる。とにかく食べやすいお肉なの! ここのところずーーーーっと食べたくても食べられなかったじゃない。だから、すんごい美味しい! もう涙でてきちゃう~」
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