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若い姉弟からの言葉に、義兄夫妻も嬉しそうだった。
これからも親族同士、繁栄できることを共に体験していこうと結ぶことができた。
札幌へと帰る高速道路走行中。夫の朋重が運転してくれる中、千歳は助手席で少し休ませてもらうことにした。後部座席にいる伊万里がいれば、朋重も話し相手がいるので退屈はしなさそうだった。
義兄弟で今日の話題で盛り上がっている中、千歳は助手席でうとうと……。
『美味でござった!! 気に入りましたぞ、和牛の主! あれはまさしく真の作り手、真の職人であるぞ。わたし、ああいう男好きだわ~。肉もうまいもんね~。間違いなく最高品質でござった!』
金の扇子をまたひらひらさせて上機嫌の福神様が夢の中にもやもや現れた。
『帰ったら報告しなされ。千草さんに。わかりましたな、千歳!』
わっ、福神様が本気になった!!
「うわ!」
千歳が助手席でうとうとしたかと思ったら、急に大声をあげて起き上がったので、朋重と伊万里が揃ってギョッとしていた。
神様のお告げとは……。弟のためのお告げだったとすぐに言えず、千歳はなんでもないと誤魔化してしまった。
それから数ヶ月ほど。
千歳のお腹が大きく膨らんで目立つようになったころに、祖母から報告を受ける。
「長谷川精肉のご家族と食事会をするよ」――と。
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