⑩長子三代の目利き

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 夏は緑に囲まれる水辺がある公園。いまは冬、園内の木々は綿雪をのせ、白い風景に染まっている。そのすぐそばにあるスタイリッシュでモダンなレストランへ、朋重の車で到着。  店にふたりで入るとディレクトールが出迎えてくれる。『お祖母様もご両親もすでにいらっしゃっています』と案内してくれた。  全員が揃うまで待機するためのウェルカムルームへと通される。暖炉がそばにあるソファーテーブルで、祖母と両親が談笑しているところだった。  着物姿の祖母と、父の遥万も上等のスーツを着こなし、母の凛香も清楚なグレーのワンピーススーツでドレスアップをしていた。 『正式な会ではないが、顔合わせに相応しい服装で整えてきなさい』と祖母に言われていたので、このレストランで浦和家と顔合わせをした時同様の心構えのドレスコードでやってきた。そんな祖母も上等の訪問着を選んでいて、父も母もフォーマルに近いコーディネイトで、実家の本気をかんじた。千歳も今日は大事な会なのだと察する。  マタニティワンピースの娘と凜々しくスーツで整えた婿殿が到着。ふたりが来たと知った祖母と両親が、笑顔で迎えてくれる。  祖母と両親が並んで座っている向かい側に、千歳と朋重は一緒にソファーへと座る。 「まあ、千歳。またお腹が大きくなったんじゃないの」 「朋重君も、仕事をしながら家事を率先してくれ、妊婦の娘を気遣ってくれていると聞いているよ。ありがとう」  娘とは職場でよく顔を合わせているので、こんな時の父は娘より朋重と会えたことを喜び挨拶をする。母はたまにマンションに様子見に来てくれるが、一週間会わないだけでも『日に日に娘の身体が変化している』と感じるようだった。  ソファーに落ち着いて、千歳はあたりを見渡す。 「伊万里はまだなの?」
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