⑪荻野神様審判

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 それを聞いた伊万里が……、目の前で優しく微笑んでいる祖母を知った伊万里が、いつも元気な弟がそこで顔を覆って泣き始めた。 「そんな、伊万里、泣くほどのことかな……。お祖母ちゃん、脅かしすぎたかしらね」 「違うよ。だって、祖母ちゃんの神さんってめっちゃ最強じゃん。リーサルウェポンじゃん。そんな神さんに歓迎されたら、木乃美ちゃんって『最強の彼女』じゃん」 「大事になさい。適当なことは許さないよ。お祖母ちゃんだけじゃなく縁神様もだからね」  当たり前だろ! とムキになった伊万里が、すぐに隣にいる木乃美を抱き寄せた。  ちょっといきなりお熱いなと千歳は苦笑いを浮かべたが。どうしたことか、泣いているのが伊万里だけじゃなくて、ちょび髭お父さんまで!  ハンカチでぐずぐずになった目元を押さえているので、やっぱり荻野の神様審判を信じて緊張していたんじゃないのと、もう千歳は笑い出していた。
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