5112人が本棚に入れています
本棚に追加
長谷川社長も気に入ったのか、またご機嫌の笑顔で珈琲を味わっている。
美味しいものを囲むと、向かい合う者同士も和やかになれるから不思議だった。
だからなのか、長谷川社長がコーヒーカップを傾けながら言い放つ。
「わかった。千歳ちゃんがこんなふうにご縁を運んでくるってことなんだな。ということは、伊万里君を連れてきてくれたのも千歳ちゃんかな。浦和さんと繋がっていたことで、荻野姉弟とも出会えたとも言えるもんな。今日だって……。こんな気分がいい出会いに巡り会えたもんな」
社長は楽しそうにそう言うと、ついには千歳に向かって『ガハハハ』と笑い出す。
「見せてもらおうじゃないの。たくさんの不思議な出来事を。そうしたら俺も一緒に荻野の神様たちを親族として敬っていくよ。うん、面白い!!」
まだ信じられないけれど、なんだか信じたくなってきたと長谷川社長が締めくくる。
そうだね。まだご縁が結ばれたばかり。浦和さんとも少しずつ理解を得られたのだから、こちら弟が結ぶお肉屋さん親族とも、徐々に信じてもらえそうだなと、千歳は安堵する。
それにしても。あの若者向けカフェで聞こえた声はなんだかったのか。
母が妊娠中に千歳の声を聞いたとか摩訶不思議なことを言っていたが、もしや、これが?
私の赤ちゃんの声だった?
最初のコメントを投稿しよう!