⑭長子の力

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 農業生産に詳しい弟が見通したとおりのようで、発売元メーカーの自主回収のおしらせにも同様の説明がなされていた。  いつもは毅然としている姉が呆然として無言でいるので、伊万里が訝しがっている。 「いや、姉ちゃん……。妊娠中で必要以上に心配になるのもわかるし、身体が思うようにならなくて手軽に済まそうとしていたことで、こんな出来事に遭遇したことショックなのはわかるけど……」  弟と木乃美が間一髪気がついてくれて良かったという気持ちもあるが、そうじゃない……!  千歳はダイニングテーブルに放っておかれた商品パッケージの箱を手に取って伊万里と木乃美に向けておもむろに呟く。お腹を撫でながら――。 「この子が。使う前に……。ママ、ダメって教えてくれて。だから封を開けずに済んだの。そうでなければ伊万里が訪ねてくる十分前に、袋を開けていて調理済みだったと思う」  さすがに伊万里も木乃美も『え!?』と仰天していた。  私の赤ちゃん、ダメなものはダメって教えてくれる子!?
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