⑮ちぃちーちゃんのお墨付き

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⑮ちぃちーちゃんのお墨付き

 なにかあると『ダメ』と知らせてくれるちぃちーちゃん。  弟が持ち込んでくれたサンドでランチ会の中、千歳は木乃美の父親、長谷川社長とカフェ二次会をした時に起きたことも伝えた。 「え~……。常太郎パパ、荻野のご加護のこと信じてくれていなかったんだ~」 「千歳さん、妊婦さんなのに、父が食事会のあとに連れ出していたなんて。それも、理解したふりをしていたお家のこと、お姉さんに問い詰めていただなんて申し訳ありません」  愛娘の婚約者として望まれていた伊万里ではあったが、実家の不思議な家訓やしきたりのことは義父が疑っていたことに、しょんぼりしていた。 「でも。ちぃちーちゃんが導いてくれたカフェに巡り会った不思議なご縁に感銘してくれて、ひとまず信じると言ってくれたの。それって。ちぃちーちゃんのおかげってことになるでしょう」  ごぼうサラダサンドを頬張りながら、千歳はお腹を撫でる。  伊万里も木乃美も、若者向けカフェへ入店することに『ダメダメ』とお告げがあり、説得力があるカフェに足が向くようにしてくれたことで、長谷川社長の疑いが軟化したことを知り安堵している。  さらに千歳は、母の凛香が妊娠中に胎児だった千歳が話しかけたことも伝えた。 「うっわ。うちの母ちゃん、なんか不思議発言ばっかするじゃん。それなりになんかの力を持ってるってことなん!?」  さすがに伊万里も信じがたいといわんばかりの驚きを見せた。  弟の気持ちがわかるので、千歳もため息を吐いて返す。
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